第28章 祭と涙
「流鏑馬さん…」
七海に“社会人とは”を、語られるのかと思いきや
「その気持ちは解らなくもないです…
今回は、遠出と言う事も有って、少し浮いた気持ちもなくはない」
『えっ?七海でも、そう言うのあるの?
そりゃ北海道だもんね?楽しみだよね?
食事も美味しいだろうなぁ…私も行きたいもん』
「まぁ、また機会がありますよ…流鏑馬さんは、
毎年の東北への遠征も有るのでしょう?」
『うん、京都時代からせっかく続けてるしね…
でも北海道の出張は、やっぱ、違うよねぇ…
別に、東北の方々!ディスってるわけじゃないよ!』
「誰に何をフォローしているんですか…
で…そこまで把握していると言う事は…伊地知君ですか?」
しまった、
内緒にしておいてと言われたのに
五条の名前は言ってないが七海は鋭い…
『ち!違うよ!イッチーじゃないよ…とある人…そう、とある人!』
「そうですが…では、とある人と言うことにしておきましょう」
紅海の交遊関係など広くはない…後は…
七海の脳裏に五条の顔が浮かぶ…嫌な予感しかしない
「まぁ、良いです…それに、出張が無かったとしても
私は祭を楽しむ年齢でもないので…お断りしていました」
『そっかぁ…いや、私、七海より一つ上だからね?』
くすくすと2人で笑う
「時間があればお土産でも買ってきますよ…」
『ありがとう…七海も気を付けていってきてね』
そう言ってくれるだけで、自分が守られているようで癒された気持ちになる
店を出て別れた七海は、北海道のお土産を今から思考した
═══8月某日
神社の境内…そこから伸びる屋台
夜の屋台通りは、人の熱気で揺れていた
提灯の赤が風に揺れ、油と砂糖の混ざる香り
気付けば紅海の手には食べかけのりんご飴と
さっき生徒に奢らされた焼きそばの容器
「紅海ちゃん…それ絶対食べきれないよ!」
『大丈夫!私これでも大食いだから!』
お面を横に着けた野薔薇の声に反論する紅海
「流鏑馬先生、とりあえず、あそこで食べたらどうですか?」
浴衣姿の伏黒に促される…
そこには、すでに飲みの屋台に腰を据えてる硝子がいた
『硝子、もう飲んでるの!?』
「紅海、ちゃんと引率してる~?」