• テキストサイズ

【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第28章 祭と涙


確かめるように、わざと軽い声を作る
「ははっ、先輩後輩で仲良く出張、北海道…
でもまだ七海には内緒…羨ましい?いいでしょー?」
わざとらしく肩をすくめる

「紅海は留守番してな?祭に行くんだろ?」
紅海は一瞬だけ視線を落とした
『羨ましい……私も行きたかった……』
小さく零れた本音
五条のスマホをいじる指が止まる
「残念でした、また今度、一緒に旅行行ってあげるから」
軽口のつもりだったが

『え!い……あ、いやいや……』
紅海は慌てて手を振る
『に、任務のついでに行くのがお得感あって良いんだよ……ラッキー!みたいな』

――行きたい!
そう言いかけたのを、飲み込んだのが分かった
五条は何も言わない

紅海は話題を切り替えるように笑った
『あ!そーだ、硝子、お祭行くかな……』
「誘ってみれば?」
椅子から立ち上がりながら続ける。
「そうだ…9月も出張あるから、1年のこと頼んだよ?」
教師としても紅海の事を信用している

『そうなんだ?…うん、任せて』
いつも五条は、詳しい事は言ってくれない
紅海としては言って欲しい…
けれど、それは自分のワガママなので本人には言わない

五条は歩き出しかけて、足を止める
「紅海…迷子になっちゃだめだよ?」
『子供じゃないんだから、大丈夫だよ』
その声を背中で聞きながら、五条は廊下へ出た

自分が遠出する時は、紅海が無茶しないか少し不安になる

五条を送り出した紅海は、書類の整理をする
お腹が鳴り、ふと、時計を見ると12時を過ぎている

「はぁ~」
大きく息を吐き背伸びをする…
何を食べに行こうか考えながら建物を出ると
蝉の鳴き声が響く

「流鏑馬さん、お疲れ様です…夏休みだと言うのに」
振り返ると、真夏の日差しの中でもきっちりとスーツを着こなした七海が立っていた
ネクタイも緩めていない…相変わらずだ

『教師だからって、まるまる夏休みな訳じゃないんだよ…
あ、そうだ七海!ちょうど良いところに…』

「何ですか?厄介ごとは聞きませんよ」
『そんな、悟みたいな事はしませんよ?』

わざと敬語で答えて、くすくすと笑う

『今からランチ行かない?1人でお昼食べに行くの寂しかったところ』
/ 285ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp