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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第28章 祭と涙


そんな体調で合流できる訳ないだろ…

「……バカか」
短く言い捨てる

そのまま背を向け、屋台の明かりの方へ消えた
紅海は小さく肩を落とす
怒らせちゃったかな…

祭の音が遠くなる…
ふと、紅海が足元を見ると
良く解らない小さい4級くらいの呪霊が
わらわらと紅海の周りに集まってくる

悟が言ってたみたいに、人混みだから呪霊が多いのかなぁ
そう考えていると、足元の呪霊が紅海をかじり始めた

正確には、本能的に呪力を欲しているのだろう
祓うのも面倒なので、そのまま野放しにする

数分後
周りの呪霊に視線を向けず踏み潰しながら近づいてくる足音
最後の呪霊をデコピンで祓い、紅海に話しかける

「祭のスポドリ高くない?」
ペットボトルが頬に当てられた
『ん…』

五条が帰ってきたと言うより紅海にドリンクを買ってきた
「4倍くらい、ぼられたんだけど?」
ひやりとした冷たさが肌に染みる
『ありがと…』
思わず目を閉じる…気持ちいい
しゃがんだ紅海の横、五条は鳥居にもたれ何も言わず腕を組んで立つ

数分、時間が静かに過ぎる
『ん~~』
熱のせいで、祭に行きたいが身体が嫌がっているので
紅海が唸り始める

そして…
祭の音の中、十分ほど経った頃、五条はスマホを取り出した
「あーもしもし」
相手は夏油
「やっぱ、紅海連れて帰るわ…調子悪いみたい」
短く告げて通話を切る
それから視線を落とした

「立てる?」
差し出された手
紅海がゆっくり手を取ると、少しだけ力を込めて引き上げた
立ち上がった瞬間、ふらつき…五条の手が自然に肩へ回る

祭の灯りを背に、二人は歩き出す
人混みから離れるほど、祭の音が小さくなる
下駄の音、子供の笑い声、花火の音…夜は静かになる

紅海は小さく呟く
『……皆と行きたかったな』
「また来ればいいだろ」
即答
『来年?』
「来年」

少し間を置いて続ける
「その時は、ちゃんと体調管理しろよ」
高専への帰り道
歩幅は自然と紅海に合わせられていた
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