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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第28章 祭と涙


職員室

冷房の低い音だけが続く、珍しく静かな時間
五条は、椅子ごと器用に後ろへ重心を掛け揺らす
スマホを眺めて誰かに文字を打っている

扉が開くと
紅海が入ってきた

足取りが軽く、明らかに空気が柔らかい
訓練終わりなのか、シャワーを浴びたのであろう
シャンプーの香りがする

五条は視線だけ向けた
「紅海、ちょっと機嫌良い?」

『え?』
一瞬考えてから、頬が緩む
『うん…デートに誘われた的な?えへへ』

椅子の脚が床に落ちた
「は?誰と?」
デートに誘われたまでは良いとしよう
その後の、その紅海の嬉しそうな顔に反応する
まさか…由布湯か?

『ん~…野薔薇ちゃん達』

沈黙

「へ~……何だ」

露骨に興味を失った声

紅海は口を尖らせる
『あ!興味ない感じ!!』
机に手をつき、少し身を乗り出す

『良いよ良いよ…私に興味ないのは置いといてさ、普通「どこ行くの?」とか聞くところじゃない?』
軽く拗ねる振りをする

五条は目隠しの奥で笑う
こう言うところ可愛いよなぁ

そう思った自分に、内心で舌打ちする
「しょうがないなぁ…」
わざとらしくため息
「どこ行くの?」

『お祭り』
「あー…祭ね」
椅子にもたれながら天井を見る
「そういや、高専ん時、結局行けなかったもんな」

紅海が瞬きをする
『覚えてたの?』

「そりゃまぁ」
言いながら、記憶が自然に引き戻される

――高専時代、放課後
久しぶりに4人揃って夕御飯を食べた帰り
商店街の柱に貼られたポスターを見る紅海

地域祭り開催
『お祭り良いなぁ…行ってみたい』
当時の紅海は、少し遠慮がちにそう言った

「良いねぇ…紅海が行きたいなら行く?」
夏油傑がすぐ乗る

だが
「祭なんか、暑い中人混み掻き分けて散財するイベントだろ?
人混みとか呪霊多いだろうしさ」
五条は興味なさそうに言った

その瞬間、家入硝子が呆れながら言う

「五条、もしかして行ったことないんじゃない?」

図星
「悟は変な所、オボッチャマだからね」

「は?誰がポケモンだ!」
「いや、それポッチャマな!」

笑いが起きる
紅海が少し楽しそうに続けた

『花火大会もある!去年は転入したばかりで行きたいって言えなくて…』
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