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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第27章 理由と利用


「紅海…僕、別に君が弱いからとか
そんな理由で怒ってないからね」

『……そう?』
「うん」
少しだけ肩をすくめる
「君、もう十分強いし」
紅海は一瞬きょとんとした後
『ふふっ、またまたぁ』
照れ笑いをする

五条は視線を逸らし、空を見上げた
以前、自分で言った言葉が頭をよぎる
――告白なんて儀式
――自分が好きだって想ってれば良い
あの時は、理屈として言った
なのに今は違う…想っているだけで、誰かに取られたら?
ぜったいに嫉妬する
苦笑が漏れそうになる

『……でも悟に頼りっぱじゃダメだからね、精進あるのみだよ』
この子は、変なところ頑固だからな…
「だから頼ってくれても良いんだって、僕、最強だよ?」
軽く言ったようでいて、声は冗談じゃない
五条はふっと笑った

「まぁでもさ、紅海が僕と話したかったって聞けただけで、今日来た価値あったかな?」
『あ!なんかちょっと、違うからね!1年の成長を共有して話したかっただけだからね!』
紅海は照れ隠しに反抗する

少なくとも今は
彼女が自分の気持ちに気づかないままでも、
自分が隣にいられるなら、それで構わないと思っている自分がいた



2人であるいている間
何も話さない時間も心地が良い

五条は、考える…

――紅海は、いつもそうだ
自分が少し距離を取るだけで
『悟、怒ってる?』『私、何かした?』『嫌われた?』
自分を責めるわけでもなく、拗ねるわけでもない
ただ、静かに不安そうな顔をする

滅多に怒らない、文句も言わない
自分を優先することがほとんどない
どこか最初から「拒まれる側」に立っているみたいな人間
……普通、こんな理不尽に距離取られたら腹立つんだけどな
五条は内心で思う
自己肯定感が低い人間は苦手だった

自己肯定感低いくせに、依存するし、期待するし、救われたがる
だから距離を置く――面倒だから

なのに紅海だけは違った
何をしても受け入れてくれそうな空気、否定されない安心感
本来なら、自己肯定感低すぎるヤツなんか退屈に感じるはずなのに
むしろ逆だった
距離を取ると、自分の方が落ち着かなくなる

思考が自然と過去へ戻る
高専時代…
初対面の日
紅海は少し緊張した顔でこちらを見て――
『良かったぁ…普通の男の子で』
安堵したように笑った

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