第27章 理由と利用
夜蛾は一瞬だけ言葉を詰まらせ小声で問う
「……流鏑馬、予定が変わったのか?」
『えっ……っとぉ……』
紅海は困ったように笑う
『私も把握できてないんですけど…
多分、予定が変わったと思っていたのが違っていて……
当初の予定どおりだったみたいで』
夜蛾は小さく息を吐いた。
悟か…だいたいの状況は理解した
だがここで追及する意味はない
「……まぁ、どっちでも良い」
夜蛾は姿勢を正す
「学長、会議室の方へ」
楽厳寺が立ち上がる
紅海は慌てて資料を抱え直した
応接室を出ると夜蛾が足を止める
「流鏑馬…」
『はい?』
「準備、助かった」
紅海は少し照れたように笑う。
『いえ、出きる事をしただけなので……』
夜蛾が歩き出すと、紅海は三輪へ顔を向けた
『霞ちゃん、今日、歌さん…えっと歌姫先生来てるよね?
会議室に来てもらえるよう呼んできてくれるかな?』
「はい」
紅海は続ける
『私は悟を呼んでくるね』
三輪は、全部、五条悟の仕業だと知っている
だが、それを紅海に言う理由はない
「……はい!」
三輪は静かに返事をした
会議室に向かう途中で楽厳寺はチクリと言う
「まったく、東京校の教師は自由な者が多い様だ…もう少し引き締めて貰わな困る」
『はぁ…私も五条には手を焼いていまして…ですが、優秀で生徒の能力を上げる事に長けていて…』
夜蛾の脳裏に五条の顔が浮かぶが、言葉を遮られる
「五条は今さら言わんでも良いが…問題は流鏑馬だ…」
「流鏑馬ですか?」
「宿儺に気に入られたと聞いた…
流鏑馬の呪力と術式は利用されやすい
注意しろよ…次何かあれば、儂が何を言おうが上層部の判断はキツいぞ」
「ですが、宿儺の器はもうすでに亡くなっています」
「問題は流鏑馬自身と言うことを覚えておけ」…と
楽厳寺は会議室に入っていった