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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第27章 理由と利用


紅海は軽く頭を下げた
『…はい、ありがとうございます』
扉へ向かう紅海に声をかける
「紅海」
『はい?』
「お前がアイツを心配する様に、五条もお前の事を心配していたぞ」
紅海は一瞬だけ目を丸くした

何も返せなかった…
失礼します…と、部屋を出た

════
後日…
放課後の事務室
交流戦の資料を抱えたまま、流鏑馬紅海は立ち止まる
『……あれ?』
スマホ画面をもう一度確認する
打ち合わせ時間…二時間ズレてる?

首を傾げる
誰に聞くべきか少し考え――すぐに結論が出る
信頼できて、事情を知っていそうで、そして一番巻き込まれていそうな人物

伊地知だ
通話ボタンを押す

「は、はい!伊地知です!」
どこか緊張した声

『あ、イッチー、お疲れ様です』
「流鏑馬さん…お疲れ様です」
少し和らいだ声になる

『ね?交流戦の打ち合わせの時間、二時間遅れで表記されてるけど……何かあったの?』

一瞬、電話の向こうが固まる
「そ、そ、それですか!?ええと……」

――言えない
五条さんに「適当に理由作って遅らせといて」って言われましたとは
絶対言えない
というか脅しだった気がする
伊地知の脳内で土下座が始まる

スミマセンスミマセンスミマセンスミマセン!

「学長は……その……」
言葉を選び

「一日三名限定の、可愛いもの好きぞ知る縫いぐるみ製作者……るるあるる巨匠の個展を見に行かれるらしくて」

沈黙
『えっ、なにそれ、凄い…そんなの有るんだ…』

予想外に食いついた
伊地知は一瞬救われる

『で、その日しか無理だったの?』
「は、はい!午前の部しか予約が取れませんでした!」
実際に予約チケットを取り夜蛾にも上手く説明済みだ


『京都側の人達も、理由は話してないにしろ、予定変更は伝わってるんだよね?』
「えっと……はい……おそらく……」

すみませんすみませんすみませんすみませんすみません!!

心の中で号泣土下座

本当は「五条さんから頼まれたんです」 「むしろ命令でした」 「目が笑ってなかったんです」
全部言いたい!だが言えない!

電話の向こうで紅海が安心したように息を吐いた
『それなら良いんだぁ……明日の予定の変更だからビックリしたよ』

疑っていない
一切疑っていない!
伊地知の良心が痛む
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