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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第27章 理由と利用


学長室の前で、紅海は一度だけ呼吸を整える

コン、コン

「入れ」

扉を開ける
『先生、失礼します…これ、交流戦の打ち合わせに使う予定の資料です』
机の上へ丁寧に置く

夜蛾正道は視線だけを動かし、資料を確認した
『あと楽厳寺学長…こっち来るみたいです』
「ああ、聞いている」
短い返答

室内は静かだ
紅海は少しだけ躊躇ったが口を開いた
『先生…悟に最近会ってないんですけど』

夜蛾の目がわずかに上がる

『余裕な顔して無茶してないかなって思って』

その言葉に、夜蛾は小さく息を吐いた
「五条を心配する人間は滅多にいない…だが、お前は昔からそうだな」
『だって悟、平気な顔して無茶するタイプだし』
夜蛾は、紅海、お前もだろ?とツッコミたくなる

自分の事は言わないし無理をしても笑う

「紅海」
『はい』
「お前は大丈夫か?」

『大丈夫です…あとは呪力が正常に戻れば…』
「違う」
言葉を遮られる
「心は大丈夫かと聞いている」
紅海の表情が、わずかに止まる
夜蛾の声は厳しいが、責めてはいない
「お前は呪術師でありながら、生徒に感情移入する傾向がある」
図星だった…
「今回、お前は守れなかったと思っているだろう」

夜蛾は続ける
「さらに宿儺に呪力を乱されたと聞いている
術式への干渉は、精神にも影響する
身体より厄介なのはそちらだ」

紅海は視線を下げた
指先がわずかに服を握る
『……平気…です
わたしが判断を誤っただけなので』
「違う…自分を責めるな」
即座に否定する
『でも……』

夜蛾はしばらく何も言わなかった。
やがて。
「教師とは万能ではない
生徒を守れない瞬間を…呪術師ならば必ず失う経験をする…俺だってそうだ…」
紅海の肩がわずかに揺れた…夏油の顔が脳裏に浮かぶ
「慣れろとは言わんが…その経験を糧にして前を向いていけ」

紅海はゆっくり頷く
『……はい』
そして、少し迷ってから口を開く
『でも、やっぱり心配で……悟、大丈夫ですか?』
悟も同じだ生徒を失ったのだから

夜蛾の口元がわずかに動いた
「あいつは、大丈夫でなくても、どうにか大丈夫に持っていく」
紅海が苦笑する
「だから、今は、お前自身を立て直せ」

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