第26章 死と距離
「はい、集中切れた!呪力が乱れてる…今、感情引っ張られたでしょ」
続けて五条はあっけらかんと言う
「っていうかさ…ネタバレって存在するの?考察班とかいる?あの映画」
*あくまで個人的な意見です。
五条は、視線は画面を見ているが、どこか集中はしていない
紅海に聞けるわけないだろ
「宿儺に何されたの?」なんて
デリカシー無さすぎって良く言われる僕でも空気読むよ
それに…
宿儺相手に、嫉妬していると認めるみたいで
それはそれで、腹が立つ
五条はソファの背にもたれた
映画の音楽が流れる
虎杖は必死に呪力を安定させながら画面を見る
══医務室
家入硝子がカルテを閉じたところで、控えめなノック
「どうぞ」
『硝子、ちょっといい?』
紅海だ…
まだ本調子ではない歩き方
「定期的に来いって言ったけど、昨日の今日だろ?」
『あ、ううん、身体は平気』
少し迷ってから、椅子に座る
指先が落ち着かない
『……あのさ』
視線を机に落としたまま言う
『私、悟に避けられてる気がするんだけど……気のせいだよね?』
硝子は一瞬だけ止まった
「あいつ忙しいからじゃない?」
だが紅海は笑わない。
『うん、それは分かってるんだけど』
少しだけ声が小さくなる
『結局、数えるくらいしか病室に来なかったし
廊下で会いそうになると、何かタイミングずれるっていうか…』
そこでようやく、自分の言葉に気づいたように苦笑する。
『いや、別にお見舞いに来てほしかった訳じゃないんだけどね』
嘘だ…硝子には分かる
「寂しい?」
『違う違う』
あははと笑う
『…でも…なんか…私、何かしたかなって』
硝子は椅子にもたれた。
「してないだろ」
断言してくれる
「むしろ逆」
『逆?』
「たぶん今、五条は自分の機嫌が悪いの分かってるんだと思う」
『……?』
「だから近づかない…変に当たり散らかせば、紅海を傷つけるからね」
紅海は理解できない顔をする
五条悟は普段、感情で距離を取る人間に見えない
「怒ってるんだよ色々と…まぁ、真意は五条にしか解らないだろうけどね」
紅海は黙った
思い当たる節が浮かび始める
もしかして…私が、またボロボロになったから?
ネガティブな紅海が、現れる