第26章 死と距離
某地下室…
薄暗い部屋の中央に、ソファとテレビだけが置かれている
虎杖悠仁は腕を組んだまま立っていた。
「え?特訓するんじゃないの?」
その前で、五条悟はリモコンを操作しながら平然と言う。
渡されたのは呪骸
ぬいぐるみのような外見だが、内部には呪力感知式の術式が組まれていて
虎杖が普通に抱えていると呪骸に殴られる
「これ一定の呪力を流し続けないと、今みたいにおそってくるからね」
一定の呪力を流し、呪骸を起こさず、映画を1本見る事を目標に告げる
虎杖は渋々ソファに座る
呪骸が膝の上によじ登ってきた
虎杖が呪力を流すと寝たり起きたり
五条は棚からディスクを選び始める
何枚か手に取り――
「あ~」
ケースを眺める
「これ、紅海の好きなシリーズなんだよね」
「え?そうなの?そう言えば紅海先生元気かな?」
「まぁ、大体元気…」
パッケージをシリーズで何枚か摘み適当に五条は答える
「そっか…紅海先生が好きな映画から見ようかな?」
「ははっ、僕は高専ん時に映画館で見に行った後に、全シリーズ紅海に何度か見せられたから、まぁ悠仁だけで楽しみな?」
「そうなの?紅海先生と2人で見に行ったとか?」
「まさか…同級生皆で見に行ったんだよ…」
前シリーズを見てないのに、紅海があまりに見たいって言うから
知らないのを言わずに映画館で見たら
『え!?前作見てなかったの?言ってよ~』
とか言って部屋に上げてパート1を見せてくれた
パッケージを確認しながら、独り言のように続ける
「僕から見るとさ、ヒロイン浮気性すぎない?」
虎杖が首を傾げる
「え?いや、俺見たことないんだけど」
「ほら、恋人いるのに他の男とキスするじゃん…あれどういう心理?」
再生ボタンを押しながら、ぼそっと
画面が暗転し、音楽が流れ始める
五条は腕を組んだまま映像を流し見する
キス…
脳裏に浮かぶ、紅海の首元の歯形
そして…本人から聞いたわけじゃないし確証はない
でも、呪力の流れで六眼には見える
おそらく宿儺にキスされた…
「なんか今、ネタバレみたいなの挟まれた気がするんですけど」
「大丈夫大丈夫」
五条は軽く手を振る
「そこ、物語的にあんまり関係ない」
「いや関係ありそうな言い方だった!っぶ!!」
呪骸に殴られる