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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第26章 死と距離



虎杖くんが生きていたのに、何故か機嫌が悪い気がする
むしろ――静かで怖い
「……それで、虎杖くんなんですが」
「あー、うん」
五条は壁にもたれ、腕を組む
「当面は僕が面倒みるよ、それが一番楽でしょ」
「ですが……情報、漏れませんか?」
「大丈夫でしょ…今のところ知ってるの、硝子とお前だけだし」
漏れたら、一番に疑うからな…と、冗談とも本気とも付かない言葉を付け加える

伊地知は一瞬迷ってから口を開いた
「あれ?てっきり流鏑馬さんにも協力してもらうのかと……」
五条の視線が少しだけ横に流れる

「いや」
短い返答
「紅海は今、満身創痍だからね」
「はぁ……」
伊地知は頷きながらも考える

むしろ、生きていると伝えた方が彼女は安心するのでは――
そう言いかけた瞬間

五条が唐突に話題を変えた
「それよりさ」
「はい?」
「紅海、首元に歯形ついてたんだけど」
「えっ!?」
思わず声が裏返る
「そ、それって……」
「宿儺しかいないでしょ」
五条は淡々と続ける
「にしてもさぁ、わざわざ噛みつく?デリカシーなさすぎじゃない?」
あなたが言いますか……伊地知は心の中だけで呟いた

怒鳴っているわけでもないのに
伊地知は、空気が冷えたような感覚に襲われる

「それなのにさ…大丈夫とか笑ってんの…あいつボロボロだったよ?」
視線が病室の扉へ向く

「何?紅海ってMっ気あるの?」
冗談めかした言い方…でも、完全に怒っている
声の奥に混じる苛立ちを、伊地知は聞き逃さない
これは危ない…察知した瞬間、そっと一歩後ろへ下がる
帰ろう…今すぐ帰ろう

「では私は報告書の――」
「とにかく!」
「ひぃっ!」
急に声量が上がり、伊地知の肩が跳ねた

五条は指を一本立てる
「紅海には黙っといてよ?」
「え?」
「虎杖のこと…今はまだ言わない」
軽く笑う
「余計な心配させたくないしね?」
その笑顔は普段通りだった

この問題に、流鏑馬さんを絡ませないのは
五条さんにとって配慮だ…
と、ともに…直後に宿儺へ近づかせたくないと言う
嫉妬も混じっているのではないか…とも思う
「……承知しました」
「ありがと」
五条は背を向け歩き出す
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