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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第26章 死と距離


7月

西東京市 ― 英集少年院運動場上空に
特級仮想怨霊…目視で確認



重く湿った空気。
雨が降る直前の匂いが、街に滞留している。

本来なら、ここにいるはずだったのは、特級術師

だが現場に立っているのは、まだ一年生三人だった

══同時刻、東京駅

新幹線ホームは異様なざわめきに包まれていた
電光掲示板には運転見合わせの文字

紅海は電光掲示板を見ながら
しばらく待ち時間にペットボトルのお茶を飲む
『うーん……絶対遅くなるよなぁ…』
紅海は小さく首を傾げる

京都へ書類を届ける
急ぎだと告げられたが、内容は曖昧だった
なんで急に私なんだろ……補助監督でもいい案件なのに

違和感はあった
だがその瞬間、スマートフォンが震える

画面表示には
伊地知潔高

『イッチーだ……もしもし?』
電話越しの呼吸は荒かった

「流鏑馬さん、今どこにいますか!?もう乗車していますか!?」
『ううん、トラブルで駅で立ち往生だよ』

一瞬
電話の向こうが静止した

そして――
「本当ですか!?良かった……!」
安堵と焦燥が混じる声

「今すぐ西東京市へ向かってください!英集少年院です!」
紅海の表情が変わる

『もしかして…一年生達が行ってる?』
「はい。緊急事態です」

息を飲む音
「釘崎さんは離脱済みですが――」

「伏黒くんと虎杖くんが、領域内部に取り残されています」

周囲の雑踏が遠のく
紅海の思考が、一瞬で戦闘状態へ切り替わる

『等級は?』
「……特級相当」

足が止まる
『は!?一年生に!?』
「本来は救助任務でした。危険なら即撤退のはずでしたが……」

言葉が濁る
紅海は理解する

おかしい…仕組まれてる

五条不在
自分を京都へ遠ざける指示
そして一年生だけの派遣

点と点が繋がる

『イッチー…おかしいよね…』

沈黙
それが答えだった
紅海は踵を返す

ホームを走り出す
『悟は?』
「現在、1級術師失踪案件の対応で拘束されています
連絡していますが……取れ次第という感じです」

『解った、間に合わせる』
改札へ向かいながら呪力が静かに滲み出る

『座標送って』
「すでに送信しています!」

スマホが震える
地図表示

西東京市
距離、約30km

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