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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第26章 死と距離


『後ろにいる人が安心できるなら、それでいいかなって』
その言葉が胸に、少し残る
虎杖は守ってきてくれた祖父の背中を思い出す

「そっか、俺も、先生みたいに頑張ってみるよ」
『うん…急がなくていいよ』
最後の呪霊が虎杖の呪具で消える

任務が終了し虎杖はふと
「先生さ、なんか…一緒にいると、安心するよ」

紅海は一瞬だけ驚いた顔をした
そして少し困ったように笑う
『それは良かった
わたし自身が安心したいって思ってきたから…』

虎杖は意味を完全には理解しない
でも、この人は強いから優しいんじゃない
優しくなろうとして強くなった人だ…と、思った

高専の広場
自販機のモーター音が静かに響いている
任務帰りの虎杖がジュースを取り出した瞬間
「おかえり、悠仁」
いつの間にか壁にもたれていた五条
「うわっ!? 五条先生!」
「そんな驚く?」
目隠しの奥で笑っている
来るタイミングがいつも正確だ
「任務どうだった?」
「え? あ、うん…いっぱい出たけど大丈夫だったよ」
五条は何気ない顔で聞く
「ふぅん…誰と行ったの?」
「紅海先生」
その名前が出た瞬間
ほんのわずかに視線が止まり、口角が上がる
「そうかそうか…紅海と組んだかぁ…」

「で?」
「…で?」
「どうだった? 紅海先生」

質問が少しだけ具体的になり虎杖は考える
「強かった」

「紅海は、駆け出しの呪術師には、ちょっと甘いからなぁ…
悠仁、そんなに呪霊祓ってないんじゃないの?」
相槌を打ちながら、缶コーヒーを開ける

「え!?うーん、まぁ…そーだなぁ…」
虎杖は顎に手をやり考えるふりをする
「ちょっとしか祓ってない」ぶっちゃける
「ブハッ!だよね~、ちょっと今度、紅海に言っとくよ…危なくなるまで手出すなってね」

「ん~、なんかさ、紅海先生に、気づいたら全部守られてる感じで…」
虎杖は言うか迷いつつ
「あと…怖いって言ってたよ」
五条の缶を持つ指が止まる
「怖い?」
「うん、呪霊…今でもちょっと怖いって」

廊下に風が抜ける

五条は小さく笑った
「へぇ…」
でもその声は、どこか遠い

「でも余裕そうに見せるのが仕事なんだってさ
後ろにいる人が安心できるならいいって」

五条の視線が空を仰ぐ

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