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【呪術】もしも、希望の隣に立てたなら。【廻戦】

第25章 休暇と浴衣



……ずるいよね、こんなの、許されてるみたいじゃん

自分勝手にお土産選んだ事も計画性の甘さも
五条は紅海が買ってくれたペットボトルの蓋を回す

思い出すのは、これまでの人間関係
強すぎる自分に遠慮する人間
期待する人間、頼る人間

でも失敗しても変わらない距離で隣にいる人間は、高専の時からのメンバー

紅海は、会った時から…最初からそうだった

五条家とか関係なく
五条悟という人間を、妙に普通の位置に置く

だから、紅海は許してくれると思ってしまう
そして、ついつい、時々、言い方が強くなる

わざとじゃない…安心してるから、甘えてるんだと思う

本当は分かっている
紅海が気を遣わせないようにしていることも
自分を楽にさせようとしていることも

それに気付いていながら、乗っかってしまう自分
申し訳ないと思う瞬間もある

さっきだって
少し落ち込んだ顔を見せたのは、半分無意識の甘えだ
どうせ紅海は笑って許してくれる…と


横を見ると紅海は改札の向こうを眺めている
夕方の光に髪が透ける

……ほんと…心の奥で、静かに思う
この人には、ちゃんと優しくしなきゃいけないのに
なのに一番、遠慮なく接してしまう

守りたいのに、守られてるみたいな気分になる
五条は小さく肩を揺らして笑った

「ねぇ紅海」
『ん?』
声をかけると紅海は振り向く
「なんでもない」
そうしている間に電車がやってきた

═══夕日が落ちる
改札を抜けた瞬間、空気が変わる

温泉街の柔らかい匂いも、旅行の浮ついた時間も終わり
見慣れた東京の夜

人の流れに紛れながら、二人は土産袋を提げて歩いていた

『あのお饅頭、硝子にも買った…あと、イッチー』
旅行の事を知っている人間にお土産を買った紅海
「律儀だねぇ…」
『悟も、ちゃんとイッチーにはお礼言っとくんだよ』
『はいはーい』

他愛ない会話
旅行の余韻がまだ抜けない

その時
「お前ら……」

背後から低い声
二人同時に振り向く

そこに立っていたのは、夜蛾正道だった

『先生?!』
「え、珍し…高専以外で見るのレアじゃない?ずっと学校に縛られてる社畜かと思ってた」

反射的に軽口が出る五条
夜蛾の眉がわずかに動く
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