第25章 休暇と浴衣
頭の中では色々な考えがぐるぐるしていた
修学旅行みたいな感じで思えば良いのかな?
いやでも男女で一泊?
一般的な男女の友達って一泊旅行する?
男女の友達だってするよね
部屋は…さすがに別々だよね?
表情には出さないように笑う
『まぁ、修学旅行みたいで楽しいかな?』
五条はその言葉に満足そうに頷く
「でしょ?」
2人は歩きながら話し始める
彼の中では完全に“デート”だった
だがそれを、わざわざ説明する気はない
紅海がどう解釈しているか、実はあまり重要ではない
ただ2人で温泉街へ遊びに行く
それだけで十分だった
五条の視線が柔らぐ
「露天風呂あるとこ探してるんだよね」
『え、もう探してるの?』
「当然!紅海も行きたい所あれば言ってよ?」
迷いがない
そのテンションに紅海は思う
悟、楽しみにしてるんだな
何か可愛いなぁ…
くすりと笑う
「なに?」
職員室に入り、書類を机の上に置きつつ
五条を見る
『悟、子供みたいに楽しそう』
「こう言う計画立てるのって楽しいでしょ?」
『確かに…知らない土地に行くのとかも、ワクワクするよね?』
「でしょ?だからさ、紅海の希望も言ってよ?」
こんなに楽しそうな悟、久々に見たかも…
そう思うと、一緒に行きたいところ考えるのも良いのかなぁと思う
『ね?どこらへん?』
「箱根?伊香保?なんか有名な温泉が良いかなと」
『温泉街とか、いろんなお店あるかな?』
「有るだろうね〜、6月とか気候が良いしね」
五条がスマホを指先で操作している
「ほら見て、ここ」
画面を軽く傾けられ、紅海は横から覗き込む
石畳の道、提灯、湯けむり、昔のまま止まったような温泉街の写真
『…いいね歩くだけでも楽しそう』
「でしょ?食べ歩きとか…温泉饅頭、制覇とか?」
『ふふっ、制覇したらお腹凄いことになるよ』
五条はさらにスクロールしながら続ける
「露天風呂付きのとこもあるけど、
普通の大浴場のほうが温泉っぽいよね
あとさ、朝市あるらしいよ
僕こういうの好きなんだよね」
『朝市って、早いかな?』
「どうだろ?起きれなかったら、それはそれで…」
今の空気が、自然すぎて
特別な約束をしている感覚が、逆に薄れる
けれど
悟の視線だけは柔らいでいるまんまだ
「楽しみだな」
その日が待ち遠しく感じる