第24章 憧れと二次会
店の扉が閉まると、街の音が一段階静かになる
紅海は一歩外へ出た瞬間、ふら、と重心を崩した
「はい、危ない」
五条が自然に肩を支える
『だいじょうぶ…歩ける…』
足取りは完全に千鳥で、少しずつ五条側へ寄ってくる
『さとる、ありがと~』
警戒心が薄れた表情だった
「いいけど、紅海さ、僕のいない時は酔っぱらうなよ?」
『なんで?さとる以外の人とも飲みに行くし…それはむずかしい』
即答…五条は少しだけ考える
「じゃあ、僕以外と飲む時は酒の量控えて?」
『ちょっと、それもむずかしぃ…』
「なんで?」
紅海は真顔で首を傾げる。
『ぎゃくに何で?』
五条は視線を逸らし、頭をくしゃっと掻いた
「あーもー…」
小さく息を吐く
「あのさ、紅海が無防備すぎて危ないからに決まってるだろ?
さっきだって、怪しいスカウトに引っ掛かりそうだったしさ…
今まで、どうやって来たの?まさか記憶がないとか無いよね?」
数歩進んで、沈黙する紅海
『きょうとでは、遊佐くんが送ってくれてたかなぁ』
「出た!由布湯だよ!何なんだよもー、まぁ、アイツの事だから何もなかった気はするけどさぁ」
遊佐への信頼は何故か厚い
「ほんとさ…そう言う僕を振り回してくるのわざと?」
『むぅ…あんしんするのかな?多分…』
その返事が予想外だったのか、五条が固まった瞬間に、彼女は斜めに歩いて壁に肩を擦って歩く
「あー、ほらほら…バイオハザード初心者かよ」
肩を支えながら歩いて数分
急に紅海が立ち止まった
『さとる…』
「ん?」
へにゃっと笑って両手を差し出す
『おんぶ…して』
「…あれ?デジャヴかな?数ヶ月前にも酔った君をおんぶした気がする」
『そうだっけ?』
悪びれない
「いい大人がおんぶとは…」
『えへへ、好きなんだよ…』
五条はドキッとした
『おんぶ…して貰うの』
ああ、おんぶが好きなのか
「解ったよ…はい」
五条は視線を落とし背を向けてしゃがむ
紅海は遠慮なく背中に体を預けると腕が首に回る
軽い…けれど体温だけが妙に近い
『さとる、あったかい』
「人間だからね~」
夜道をゆっくり歩き出す
背中越しに感じる呼吸が、少しずつ静かになっていく
酔いと安心で力が抜けていて、少し重くなった気がした