第23章 指と欠片
══閑話══
虎杖の部屋の前
五条が軽くノックする
コンコン
「はーい」
中から、明るい声
扉が開く
「あ、先生、と……誰?」
視線が横に流れる
「流鏑馬紅海さんでーっす!」
紹介の仕方が雑だ
『初めまして、流鏑馬です』
ぺこり、と頭を下げる
「あ!もしかして、生徒3人って言ってた、残りの一人?」
勝手に納得する
「へー、よろしくな!」
手を軽く上げる虎杖
『あ、いや、違くて…』
訂正しようとする紅海の横で、五条の肩が笑いを堪えて震えている
「ぷっ、悠仁……っ、紅海は、悠仁より年上だよ」
言いながら、もう崩れている
「あ、マジ?先輩か…何年生っすか?」
『いや、じゃなくて…』
「えっ、もっと上?いくつ?」
紅海は一瞬固まる
どうしよう…年齢言いにくい!
顔を下げたまま指を一本、そっと立てる
『ひ、ひとまわりくらい上かも…』
小さい声だ
「……」
虎杖の理解が追いつく前に
「ぶっ…!」
五条の限界が来る
「ははははっ!」
五条が完全に吹き出す
「悠仁!紅海はココの先輩ではあるけど、教師だよ!」
腹を押さえて笑う
「ぷっ、はは……お腹痛い……」
「あ゛、え゛!?」
虎杖悠仁の顔が一気に変わる
「す、すいませんっ!」
反射で勢い良く頭を下げる
『あ、いや、大丈夫だから!』
慌てて手を振る
フォローに回る
「いやマジで!全然そう見えなくて……」
言いながら顔を上げる
やばいこれフォローになってるか?
虎杖は一瞬迷うが
「若いっすね!」
結局、真っ直ぐ笑顔
紅海は少しだけ瞬きをしてから
『……ありがとう?』
微妙な返しになる
そのやり取りを見て、五条はまだ笑っている
紅海は五条の方を向いて少し頬を膨らませる
『悟、笑わないで!』
でも、完全に怒ってはない
視線を虎杖に戻す
『めて、よろしくね虎杖くん』
今度は、ちゃんと教師の顔…多分
「はいっ!」
何かが動き始める前の明るいひととき