第23章 指と欠片
「当たり前でしょ」
間髪入れずに返す
好きなやつ傷つけたかもって思ったら、そりゃ気にするだろ
けれど、その“当たり前”の中身は言わないけれど
紅海は少しだけ視線を落とす
指先が、無意識に自分の服の裾を掴む
『なんか…宿儺に、色々言われたことが不安で…』
ゆっくりと言葉を選ぶ
『自分どうなっちゃうんだろうって思って…』
思い出すだけで、胸がざわつく
自分の知らない“何か”の存在を知っている
『でさ…悟に聞いてもらったら、少し気が楽になるかなぁとか…他人任せだよね〜』
そう、紅海の場合、落ち込みすぎるのが弱点だよね~
高専の時も、夏油が隣で聞くだけなのに安心して笑ってた…
答えが解ればどうってこと無い
紅海は、自分を信頼してくれているんだから
不安な時は、紅海の隣で話を聞いてやれば良い
『不安な気持ちが解って貰えなかったって思っちやって…
後は、お恥ずかしながら…メンタル崩れ落ちて』
自嘲気味に笑う
『“悟の隣”って、ちゃんと私なのかな?って…考え始めて…
悟は、ちゃんと気にしてくれてたのに、勝手にゴメン』
“隣が、ちゃんと私なのか”
前に言った…確かに
紅海が危険な事に足を突っ込むから
ピンチなら助けるって…そんな話から、派生した気がする、多分
紅海は、“隣”の意味を戦友として…ぐらいにしか思ってないかもしれないけれど
僕の隣に居たいと思っているんだ…じんわり胸が熱くなる
五条は掴んでいた手首を、ゆっくり引き寄せる
少し近くなる…目隠ししているのに視線が合った気がした
「それさ…僕の隣、ちゃんと紅海だよ」
紅海の耳元に顔を近づける
ピクッと彼女の身体が跳ねる
「紅海以外のヤツが隣に来るわけ無いでしょ
それに僕、そんな器用じゃないしね?」
少しだけ肩を竦める
「さてと、悠仁ん所、行くんでしょ?僕も行こうかなぁ〜」
紅海は、五条の近さに驚いて無意識に何故か息を止めていた
不安より先に、安心が来る…じわっと遅れて
さっきまであった不安が、一つ解消される
全部じゃないけれど、確実に軽くなった
五条の背中を見つめて、紅海は
『ありがと…』
と、呟いた