第23章 指と欠片
高専の空気はいつも通り…
虎杖悠仁の処遇は、あっさりと決まった
秘匿死刑は保留…条件付きでの生存
きっと、五条が得意のワガママを貫いたんだろう
そして—虎杖悠仁、高専への編入
無茶苦茶な話を、無茶苦茶なまま通す
それを成立させる存在がいる限り、呪術界はそういう場所だ
紅海は、その報告を聞きながら小さく息を吐いた
良かった……心からの安堵
だが同時に、別のものが沈んだまま残っている
宿儺の言葉だ…
“巫女の祖先”
“魂の欠片を奪った”
頭の隅に、ずっと引っかかっている
だから、私の呪力は異質?
悩みすぎて、禿げそうなので
昼休みに医務室へと向かう
『硝子〜〜っ』
どこか力が抜けた声を出して、硝子の方へとゾンビ走りで近寄る
*ゾンビ走りとは、手を力無く前に付き出して走ることである
「おっ、活きの良いゾンビだ…何かあった?」
『ゾンビは活きが悪いからゾンビなんだよ…』
「活き悪いゾンビは、すぐに倒せそうだな…じゃない、何かあったんでしょ?」
机に肘をついたまま、顔だけ向ける
いつも通り、意味の無い会話を無意味に続ける2人
『ちょっと…何から話して良いのやら…
生徒の前ではシッカリしなきゃと思って気張ってたんだけどさ…』
言葉が、少しだけ散らばる
「あ〜、メンタル?」
短い確認
『へへっ』
誤魔化すように笑う
「メンタルは反転じゃ無理」
『うん、ごめん…だからちょっと寝かせて』
奥のベッドのカーテンを開けてあげる
「話したくなったら言いな?聞くくらいなら出きるよ」
それ以上は踏み込まない
紅海は、ゆっくりと奥へ入る
簡易ベッドに身体を預けて深く息を吐く
天井を見て、そっと目を閉じる
……少しだけ一人になる時間が欲しかった
カーテンが、静かに閉じられ光が遮られる
数分後
扉が、遠慮なく開く
「ちょっとさ〜!硝子、聞きたい事あんだけど」
ノックもない…いつもの事だ
「五条…何?」
どいつもこいつも…ここは駆け込み寺か?
心の中でだけ、ため息。
「紅海の事…昔から治療してたでしょ?」
硝子は視線を上げ…少しだけ、興味が乗る
紅海のメンタルと関係するのかな?と、考えつつ耳を傾ける
「紅海の呪力…異質だけど…何か今まで、他に気付くこと何か無かった?」