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【FF7】ボクシング・デー

第6章 偽物の星空を語った日


カチ、カチ……。

意味のない羅列を数文字が打ち込まれては消え、消えてはまた打ち。

報告書は後三行からまったく進んでいなかった。

進むはずもなかった。

アグレイスの意識は、画面に目を向けている体を装いながら、わずかな視界の端で、彼の些細な動きや表情を追っていたのだから。


--あれから

どんなに顔が合わせづらくとも、任務の名のもとに引き合わされた。
危険を伴うオシゴトで、個人の事情など考慮には入らなかった。始まれば他に優先すべきことはない。
運よく生き残れば、酒を酌み交わし、バカをすればフォローし合う。
そうやって日々は過ぎて、痕が消えて、想いは薄れて、やがて忘れて、戻るはずだった。
戻ったはずだった。

しかし気づけば、二度目があり、三度目があり、さらにその先もあった。

求めたことも求められたこともある。そういう時間が増えていったのだ。

身近なソウイウコトができる対象だったのかもしれない。
それが正しい関係でないことは明白だった。

道行く気持ちを伴なったふたりに憧れない訳ではなかったが、
今、レノが目の前にいて生きていて、彼の瞳にアグレイスが映っている。
それ以上の何も望めなくなってしまった。

気づけば一年。

何も変わらない関係。
だが、中にあった熱はいつも間にやら冷めてしまった。
それでもレノなりの優しさは感じられた。冷めてはいたが、冷たくはない。

以前のような熱を分け合う時間は訪れないだけだ。

ひとりの夜に思う。
今、彼はひとりだろうか。彼女の知らない誰かとあの日のように過ごしているのだろうか。
自分だけが置いていかれたのではないかと、レノのいない時間が確実に彼女の思考を侵していった。
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