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【FF7】ボクシング・デー

第5章 温もりを分けた日


「ルード!!」

名前を呼んだだけで、彼女の意図を汲んだ。

振り返るレノ。その反応は、わずかに遅い。

ルードの伸ばした腕が、レノの袖を掴む--その一瞬を、アグレイスはやけに鮮明に見えていた。

彼を選んだ判断は正しい。

--巻き込まなくてよかった。

彼女が安堵した表情で微笑むと、同時に足元が崩れた。

砕けた氷が舞う。辺りは純白の雪埃に包まれた。

逆さまになりながら、彼女はすぐに思考を切り替えた。

急所の保護に衝撃の分散……最低限、生き延びるためにできることはまだある。

浮き上がる内臓の不快感に耐え、マテリアホルダーに手を伸ばす。

発動を待つばかり、その瞬間。

体が、強く引き寄せられた。

「どうして」

「どうして、だろうなぁ!」

落ちる前の一瞬を捧げた相手がそこにいた。

レノは笑っている。だが余裕なんてどこにもない。

アグレイスは迷うことなく、バリアを展開する。

彼の瞳と似た色の光が、真っ先にレノを包み込む。

ギシッと食いしばった口元が、怒りに滲む。もう冷静を装うこともできないのだろう。キリリと上がった眉が彼女の顔を責めるように睨みつける。

「この死にたがりが!!」

吐き捨てるような怒声。

そのまま彼は、彼女の頭を胸に押し付ける。

来る衝撃はすべて引き受けると言わんばかりに。

重なる二人を、幾重もの光が覆う。

ありったけの想いを込めた彼女の理は--

歪んだ空気となって、衝撃外へと逃がした。
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