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天狐あやかし秘譚

第100章 雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)


いや、大丈夫だってさ・・・
そもそも、そこの扉、鍵外さないと開かないし。

よほど焦ったのだろう。彼は鍵も取り出さずにガチャガチャと取っ手を回しているようだった。私は構わずポイと青い方を口に入れる。

それは、舌の上で、しゅんと溶けていく。
味は、甘酸っぱいラムネの味。

もぐもぐ・・・ごっくん

完全に飲んだ・・・飲んだけど・・・
ん?
別に、体調にも何にも変化はない。

私は両手をワキワキ握ったり開いたりしてみたり、首を回してみたり、ぐっと伸びてみたりしたが、身体感覚も、知覚も、精神状態にもなんら変化は見られなかった。

んー?
どういうこと?

その時、がちゃっと扉が開いて廣金くんが入ってきた。

「ちょ・・・日暮さん!そんなの飲んだら、あ、危ないですよ!」
気が弱い廣金くんはオロオロとしている。
「うーん、でもね、飲んでもなんにも起きないのよ・・・」
「そうなんですか?」
「うん・・・黄色い方も飲んでみようと思うからさ、とりあえず外出てて」

まだ、なにか言いたそうにしている廣金くんをぐいぐいと扉の外に押し出すと、それを閉め、向こうから鍵をかけさせた。こうすれば、万が一私がトチ狂っても外に出ることだけは防げるわけだ。

んじゃ、黄色、行ってみよー!

ポイっと黄色い方も口に入れてみる。
溶け方も味も何もかもが先程と同じだった。

変化は、うーん・・・

「特には・・・」

ないなあ、と言おうとした時、しゃーっ!!と猫神が警戒の声を発した。何事!?と思い、そちらを見ると、その姿がブレているように見える。

「にゃあああ!!!」
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