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天狐あやかし秘譚

第100章 雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)


符はひらひらと舞い落ちながら光り輝き、丁度私のお腹の当たりでくるりと一回転する。そのときにはすでに黒猫の姿になっており、スタン!とそのまま華麗に地面に降り立った。

一回、前足を伸ばしククッと背を伸ばす。

ぺろぺろと前足をなめなめ、顔を洗っている可愛らしい黒猫。これが私の式神『猫神』だった。ちなみに、ニャンコ先生、というのは、私がこの子につけたあだ名みたいなものだ。

「ニャンコ先生・・・これ、どう思います?」

よいしょっとニャンコ先生を抱えあげると、テーブルの上にとんと置いた。猫神は二つの薬をちらりと見ると、ゆっくり顔を近づけてふんふんと匂いを嗅ぎ出した。しかし、10秒ほどで興味を失ったようにくるりとそっぽを向いて、テーブルから下りていき、いつも私が座っている椅子にむかってスタスタ歩いていくと、あっというまにそこでくるんと丸くなって寝てしまった。

・・・うーん・・・ニャンコ先生でも何も感じないのか・・・

装置でも、式神でも、そしてもちろん自分自身の呪力感知にも、何も引っかからない。・・・はて?どうしたものか?

人体実験、してみようかな?

ちらっとガラス窓の向こうで機関誌「おんみょうタイムス」を読んでいる廣金くんを見る。一瞬邪悪な発想が脳裏をよぎったが、ぶんぶんと頭を振ってその思いを追い出す。

いや、後輩にやらせるとか、外道でしょう!?

じゃあ、しょうがない・・・自分で試すか。

そもそもが女子高生の部屋で押収され、おそらくその子はこれを飲んだのだろう。容器の大きさと中に残っている薬剤量から言って、一錠飲んですぐにどうこうなる、ということはないだろうという予測が立ったのも私の決断を後押しした。

「さて、問題は、黄色と青、どっちを試すか、だな・・・」

うーん・・・黄色か、青か?
まるで、映画のラストシーン爆弾解除で赤い線か青い線かを選ぶシーンみたい・・・じゃ全然ないな。

とりあえず青にすることにした。
意味はない。なんとなく、好きな土門が好んで紫っぽい色の服を着ているから、それに引っ張られてというくらいだ。

「廣金くん!私さ、これ飲んでみるから、なんか異常があったら対処よろしくね!」

声を掛けると、廣金くんがびっくりしてこっちに来ようとする。
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