第100章 雲散鳥没(うんさんちょうぼつ)
どちらかというと、冴守よりも土門の方が私と近い性質を持っているように思う。研究熱心で、一つのことに夢中になると周りが見えなくなる。それに、とことん追求しないと気がすまない。ある意味、学者肌。とても優秀で、陰陽寮の中でも特に土御門様からの信頼も厚い私の尊敬する上司のひとりだ。
ただ、そのあまりの変人ぶりから、人は陰に陽に彼女のことを「マッド・ソーサラー」などと呼んでいるのだが・・・。
まあ、近い性質とは言え、私はあそこまでぶっ飛んではいない・・・つもりだけど、それでも、よく似てるなとは思う。そんな土門がトップにいるからこそ、この『占部衆』は私にとって理想の職場であるといえるのだ。
やれやれ、といった様子で、その土門が再び同じ説明をしてくれた。多分、私の性格に対する理解があるのだろう、と勝手に思うことにする。
「都内で女子高生の行方不明事件が多発しているのです。まあ、いなくなっているのは高校生だけってわけじゃないんですが、女子高生が圧倒的に多い。今月だけですでに4人いなくなっているのです」
え?4人も!?
「類似の事件と思われるのは、今年の3月から発生していました。当時、同時に発生していた辻神事件に紛れてしまっていたのですが、あちらより低い年代の子だということもあり、また、家出という線で捜査がなされていたことから、あまり捜査陣の目を引くことがなかったようです。しかし、今回、改めて精査したところ、今年の3月からの同種案件と思われる行方不明者が累計で30人を超えていることがわかったのです。」
冴守が手帳を見ながら冷静にデータ面での情報の補強を行う。こんなふうなまめまめしさがこの男の大きな特徴であった。
えええ!!!さ、30人!!
「今回、この件が陰陽寮に上がってきたのは、4日前に捜索願いが出された高校2年生の坂本愛理さんの件がきっかけなのです。どうやら、この愛理さん、ある日の夕刻に、自宅マンションの窓から裸足で失踪した・・・ということなのです。おかしいですよね?」
「ちなみに、坂本さんのお住まいは、マンションの5階です」
家出をするにしても、裸足で、しかも、5階の窓から飛び降りるなんて・・・たしかにおかしい・・・というか、可能なのか?