第4章 深すぎず浅すぎず、近すぎす遠すぎず
春の光が差し込む袴田家のリビング。
は、白い靴下を丁寧に伸ばして履き、
卒業式の新しい制服にそっと袖を通した。
鏡の前に立った瞬間――
胸がぎゅっとした。
(……わたし、もう小学生じゃなくなるんだ……)
不安と期待が入り混じる。
成長は嬉しいけれど、ふと寂しさも押し寄せる。
その時、廊下から声が聞こえた。
「、支度できたかい?」
「うん、ジーニー。いま行く。」
顔を出すと、
ジーニストはきちんと整えたスーツ姿で立っていた。
ただの保護者以上の存在感――
今日も変わらない“守ってくれる人”だった。
「似合っている。とても立派だ、」
は照れながら微笑む。
「……ありがとう。」
⸻
体育館には、
先生たちの声と、子どもたちの少し緊張した笑い声が響く。
ミナが駆け寄ってくる。
「!制服似合いすぎでしょ!」
「ミナこそ、かわいいよ。」
「はぁ!?可愛いのはだから!」
二人はいつものように笑い合った。
でも――
ミナは気づいていた。
(……、なんか前より大人っぽくなったな……
男子が見てるの気づいてる?)
男子の視線がひそひそ集まる。
卒業式という節目は、
多くの“気持ち”を浮かび上がらせた。