第3章 はじめましての訓練
ホークスが本気でと飛ぶようになった日
7歳になったは、
地上数十メートルの高さでも落ちついて飛べるようになっていた。
ホークスはそれを確認し、
とうとう提案する。
「
そろそろ“ガチの空”行くか。」
「……えっ……
ホ、ホークスと一緒に……?」
「当たり前だろ。
空は片方だけじゃ危ない。
二人じゃなきゃ意味ねぇんだよ。」
そう言って手を差し出す。
はその手をぎゅっと握った。
空中では、言葉はほとんど要らない。
ホークスが先を飛ぶ。
が後ろを追う。
羽音だけが風を裂く――
「、速度落ちてるぞ!」
「ま、待ってホークス!
速いよぉ!!」
「もっと羽を立てて、空気つかめ!
ほら、こう!」
ホークスが後ろに回り、
の翼の角度を軽く調整する。
ふわっ
一瞬で風の流れが変わり、
の身体がすっと持ち上がる。
「わ……!
とべた……ホークス、すごい!!」
「だろー?」
(……こういうときだけ素直なんだよな……
可愛いじゃねぇか……)
ホークスはこっそり微笑む。
その日は、ふたりで遠くの海まで飛んだ。
夕陽の赤が雲に落ちる頃、
はぽつりと言った。
「ホークスといっしょに飛ぶの好き。」
ホークスは照れ隠しのように後頭部をかいた。
「俺もだよ。
……なんか、お前と飛ぶと楽しい。」
「なんで?」
「さあ?
……飛ぶ理由ができるから、かな。」
はその意味を理解できないまま、
ただ嬉しそうに羽を揺らした。