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ヒカリノキオク【ヒロアカ】

第2章 発現と出会いと喪失


4歳___
父が「久しぶりのお休みだから、3人でお出かけするか!」と言い、家族で山へ出かけた。
訪れたのは、自然豊かな瀬古杜岳

家族と離れた場所を歩いていた私の目に、青く揺れる炎が映った
ただの焚き火ではない――異様な青さを帯び、揺らめきながらも美しい炎
(誰かいる…?)

炎の奥から現れたのは、包帯だらけの細い少年
幼いながらも、目の奥には深い影を宿していた―白髪にエメラルドグリーンの瞳をした少し年上の少年に出会った

彼は父への反発や、個性の制御を試すため、ひとりで山に登り訓練していた
だが、身体は限界に近く、膝が崩れる
包帯は焦げ、腕や首もひどく焼け爛れていた

「だ、大丈夫……?」
4歳の私は恐怖よりも心配が勝り、思わず駆け寄る

「来んな……ッ! 俺に触るな……ッ!」
火傷をしている少年は震え、声を荒げる。個性が暴発した直後で、身体は悲鳴を上げていた

私は小さく首を振る
「痛いの、やだよね……助けたい……の」

その言葉に、少年は目を見開いた
誰も、自分にこんな優しさを向けたことはなかった

焦げた包帯にそっと手を添えると、柔らかい光が滲み出し、治癒個性が発動する
じんわりと熱が引き、痛みだけでも和らいでいく
焼けただれた皮膚は少しずつ元の色を取り戻し、痛みも和らいでいった

「なんで……俺なんかを……」
「だって、つらそうだから」
少年は言葉を失った。父からも、兄弟からも、こんな優しさを受けたことはなかったのだ

治癒が終わった後、私は微笑む
「……もう、少し痛くない?」
「……あぁ。助かった……」

去り際、少年は振り返り照れ隠しのように横を向きながら言った
「名前、教えろよ。」
「……」
「……綺麗な名前じゃん。絶対、また会うから。」

その記憶は、少年の中で
“家族以外で初めて温かい手を差し伸べてくれた女の子”
として強烈に刻まれた。

炎の揺らめきの中で、初めて見た温かさ、守られた安心感。
この日、少女の存在が「自分にとっての光」として芽生える。

小さな手と光が生んだ奇跡――
それは、幼いと少年の心に静かに、しかし確実に残った記憶となった。
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