第3章 はじめましての訓練
ホークスとの “本気の訓練” が始まった
翌朝。
昨夜泣き疲れて眠ったは、ホークスの手を握ったまま起きた。
「……おはよ…」
「おう。今日はいっぱい寝れたな。」
まだ目が赤いけれど、
いつもの優しい笑顔が戻りつつある。
その日の午後、公安委員長は二人を訓練室へ連れてくる。
「ちゃん
今日から“個性安定訓練”を本格的にはじめよう。
大丈夫、ホークスもついている。」
は少し緊張した様子でホークスの袖を掴む。
ホークスはしゃがんで視線を合わせ、
「怖かったら俺の後ろ隠れろ。
でも大丈夫、絶対無理させねぇよ。」
その言葉に、の胸はすこしだけ強くなる。
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“光を出すだけ”のはずが……
訓練は、まず個性の基礎確認から始まった。
「ではちゃん
掌を開いて光を出してみて。強く願わなくていい。
『ちょっとだけ光って』くらいでいいよ。」
はこくりとうなずき、
そっと手を胸の前に掲げる。
(光って……)
小さな指が震える。
ほんの数秒後、
指先がかすかに白く光った。
「……できた!」
だが次の瞬間、
光がぶわっと膨れ上がり——
はびくっと怯えてしまう。
光は一気に消え、の肩が落ちた。
「ごめんなさい……
できない……やっぱり……」
その声は小さく、泣きそうだった。
ホークスはすぐに横から入る。
「いや、今ので十分すごい。
6歳でここまで制御できるやつ、なかなかいねぇよ。」
しかしは首を横に振った。
「……治せなかったの。
ママもパパも……
助けたいって願ったのに……
光、出なかった……」
その言葉は訓練室の空気を一瞬止めた。
公安の大人たちが動けなくなる中、
ホークスだけがゆっくり近づいて、
の目線までしゃがむ。
「
あの時お前は悪くねぇ。
“子どもの個性”には限界があるんだ。
小さかった自分も責めるな。」
は肩を震わせながら、
必死に涙をこらえる。
ホークスはそっと小指を差し出した。
「な?
今日からゆっくり覚えてこうぜ。
全部いっぺんに上手くならなくていい。
俺がついてるからよ。」
は泣きながらも小指を絡めた。
「……うん……」