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ヒカリノキオク【ヒロアカ】

第3章 はじめましての訓練


部屋は真っ暗だった。
だがすぐにホークスは気づいた。

机の上に、小さな手の跡が残るように——
自分がに渡した羽根が置かれていた。

そして羽根の横には、
幼い字で書かれたメモ。

『かえるの、まってる』

ホークスは胸がぎゅっと締めつけられた。

「……ずるいっての。
そんなこと書かれたら」

苦笑いしながら眉が下がる。

その瞬間——
ベッドの布団が小さく動いた。

「…っ……ぐ……」

押し殺すような声。
必死に泣くのを堪えている声。

ホークスの目がすぐに向く。

「?」

声をかけると、
布団がびくん、と揺れた。

暗闇の中から、
ぐしゃぐしゃに丸まった小さな体がのそっと起き上がる。

月明かりが差し込んだ瞬間。

涙で濡れた頬。
赤くこすった目元。
苦しいくらいに噛んだ下唇。

——そして、震える声。
「……ほんとうに
かえって、きたの……?」

ホークスは返事できなかった。

喉の奥が熱くて。

代わりに、
ゆっくり歩いてベッドの前にしゃがみ込む。

「当たり前だろ。
言ったじゃん、戻るって。」

手を伸ばした瞬間——

バッッ!!

が勢いよく飛び込んできた。

小さな身体で全力の抱きつき。
指がホークスの服に食い込む。
腕も震えてる。

「……っひ……っぐ……!
いっ……いやだったぁ……!!
いなくなるの……ぜったいやだったぁ……!」

声が枯れるほど泣きながら、
ホークスの胸に顔をぐりぐり埋めてきた。

ホークスは少しだけ目を伏せた。

(――ごめん。
こんな思い、させたくなかった。)

肩の痛みなんてどうでもよかった。

そっとの背に手を回し、
できるかぎり優しく抱きしめた。

「遅くなって悪かったな。
でも……ほら、帰ったし。」

「……うそだと……おもった……
もう、かえってこないって……
まま、ぱぱ、みたいに……」
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