第3章 はじめましての訓練
ホークスは気づけば公安の医療室で、
羽根を広げたまま寝かされていた。
ぼんやりと目を開けた刹那——
「あ……」
小さな赤い羽根が、彼の胸の上に置かれていた。
それは、数時間前に
に渡したものと“対”になる羽。
職員が拾って置いたのだろう。
でも、ホークスは思わず笑った。
「……俺が戻る場所を守ってくれてっか。」
胸の奥の熱が、静かに広がる。
「……泣いてねぇかな。」
ぼそっと呟いた声は、
いつもの軽さとは違う——
13歳の少年が誰かを想って漏らした、本音の声だった。
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任務から十数時間後。
すっかり夜になった公安の建物に、
赤い羽根がかすかに揺れながら歩く影があった。
ホークスは包帯で固められた肩を押さえつつ、
こっそりの生活区画へ向かっていた。
「……どーせ寝てるよな。
でも、一応……顔見とくか。」
いつもなら軽い足取りなのに、
今は妙に遅い。
あの子が泣いてなきゃいい——
その不安で胸がじんじんする。
(いや……泣くよな。
あんな離れ方したし……)
心の奥がじわっと熱くなる。
ホークスはドアの前で一度息を飲んで、
そっと取っ手に手をかけた。
カチャリ。