• テキストサイズ

ヒカリノキオク【ヒロアカ】

第3章 はじめましての訓練


現場は市街外れの廃工場。
そこに“逃走中の敵能力者が潜伏している”という情報だ。

上空から見下ろしながら、ホークスはひとりで威圧感のある敵を確認する。

「一匹って話だったのに……増えてんじゃねぇか。」

大型の敵が3名。
金属を操る男と、怪力の女、そしてスピード系の青年。

13歳のホークスにとっては分が悪い。

だが——
羽根を操る感覚は冴えていた。

金属を操る男が鉄骨を飛ばす。

ホークスはそれを“羽根の盾”で弾き返す。

怪力の女が突っ込んでくる。

ホークスは羽根を数十本飛ばして脚を奪い、転倒させる。

そのとき背後から高速の青年が迫った。

「遅い。」

ホークスは一瞬で読み切り、
羽根で青年の頬に浅い傷を刻んだ。

青年は怯んだ。

「なんだ、ガキじゃねぇか……!」

「ガキにビビってんじゃねぇよ。」

軽口を叩きながらも、ホークスは冷静に周囲を読む。

彼には“絶対死ねない理由”があったから。

(と約束した。戻るって。)

その瞬間、工場の奥で爆発が起きた。

ゴォンッッ!!

大量の瓦礫が落ち、視界が砂埃に飲まれる。

「チッ……!」

爆風でホークスの身体が吹き飛び、
錆びた鉄骨に肩をぶつけた。

鋭い痛み。

血が滲む。

だが——動ける。

「戻る……戻るっつったんだよーーーッ!!」

羽ばたいた瞬間。

ホークスの脳裏に、
小さく震えるの姿が強烈に思い浮かぶ。

——“泣かないで待っててほしい”。

あの小さな声。

小さな手。

小さな涙。

そのすべてが、ホークスの胸を突き動かした。

(絶対、生きて帰る。)

羽根が閃き、
高速の青年を瞬時に拘束。

怪力の女を沈め、
金属使いの男の武器を奪い、
3名全員を制圧した——

13歳の少年とは思えない速さで。

だが最後に、
ホークスはふらりと膝をついた。

(…………俺、帰るからな。)

視界の端が黒く沈んでいった。
/ 100ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp