第3章 はじめましての訓練
公安の作戦室は、いつもの訓練とは明らかに空気が違っていた。
無線が飛び交い、
大人のヒーローたちが険しい顔でモニターを見つめ、
現場情報を確認している。
ホークスは、年齢にそぐわぬ“任務用スーツ”を着込み、
赤い羽根を一本一本丁寧に整えながら深く息を吸った。
「……さて。デビュー戦ってやつだ。」
胸の奥が高鳴り、手のひらが少しだけ汗ばむ。
緊張でも恐怖でもない。
むしろ——
(を“ひとりにしちまった”焦りの方がデカいな……)
数時間前、は泣きそうな目で袖を掴んだ。
あれを振り払ってまで任務に出る。
本当なら置いていきたくなかった。
だが、ホークスは“武器”として育てられてきた。
任務は絶対。
感情は後回し。
それでも——あの小さな手の震えは胸に残り続けていた。
(すぐ戻ってやるよ……待ってろ。)
ホークスは赤い羽根を広げ、出撃した。