第3章 はじめましての訓練
食堂でも、移動でも、
は気づくとホークスの隣にいるようになり、
ホークスも自然とを守るような動きをする。
プリンの取り合いなんて可愛い事件も増えた。
「ホークス、それ私のプリン!」
「いやいや、名前書いてないし。」
「書こうとしたらホークスが食べたの!」
「こえー、記憶力バケモンかよ。」
そんなやり取りをしながら、
二人の距離はまるで“家族”のように近くなっていった。
ホークスにとっては守るべき小さな存在で、
にとってホークスは唯一の安心できる人間。
痛みも、笑いも、日々の全部を共有して——
二人は同じ方向を見る翼になった。
_______
がホークスの部屋に向かう廊下は、
いつもより少しだけ静かだった。
遠くで職員たちが慌ただしく走る足音、
無線の短い会話、空気に漂う緊張。
6歳のでも分かる。
“何かが起きている”。
コン、コン。
「ホークス……?」
ドアをノックすると、
中から聞き慣れた声が返る。
「ああ、か。入れよ。」
ドアを開けた瞬間、
はいつもと違う雰囲気に気づいた。
ホークスは腰まで届く大きな収納ケースに
羽根のメンテナンス道具や小型通信機を詰めていた。
着ているのは普段のパーカーじゃない。
公安の“任務用スーツ”だった。
「ホークス……どこか行くの……?」
小さく震えた声で尋ねると、
ホークスは手を止め、の前にしゃがんだ。
「……今日な、初めてちゃんとした任務に出る。」
の胸がきゅっと縮む。
「い、いっちゃうの……?」
「行く。
でも戻ってくる。必ず。」
いつもの軽い調子じゃない。
でも、その目はまっすぐだった。
は小さな手でホークスのスーツの袖を掴む。
「いや……やだ……
だって……ホークスがいないと……
こわい……」
その瞬間、ホークスの顔が少し痛むように揺れた。
彼は一年間、
の"安心の全部"になってしまったことを理解していた。