第3章 はじめましての訓練
の背に新しく生えた赤い翼は、
最初こそ痛みを伴っていたが、数日が経つにつれ
その痛みは“違和感”へと変わっていった。
公安の医療班は驚きの連続だった。
「……これは、単なる生体模写ではない……」
「羽根の構造、付け根の筋肉、本家に極めて近い……!」
医療班たちの興奮をよそに、はベッドの上で項垂れていた。
「ホークスのまねっこになっちゃった……」
それが、ただ恥ずかしいとかではなくて——
“自分が自分じゃなくなる”ような不安が胸を占めていた。
そんなの表情を見て、医療班はバタつく。
だが、部屋のドアをノックする軽い音で空気が変わった。
「入るぞー、ちゃん。」
無造作に手を上げながら入ってきたのはホークス。
13歳とは思えない落ち着きで、どこか頼りない空気を一瞬で払う。
は慌てて翼を背中で丸めた。
「……見ないで……」
「なんで隠すんだよ?」
ホークスはベッドの横に腰を下ろし、
の目線まで身体を屈めるようにして言った。
「俺の翼が増えただけだろ?」
「ちがう……私のだもん……」
「そ。のだ。」
ホークスはあっけらかんと言う。
「俺の翼に似てたって、
“が生まれた翼”であることに変わりねぇんだ。」
その言い方が妙に優しくて、
は泣きそうになる。