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ヒカリノキオク【ヒロアカ】

第3章 はじめましての訓練




の瞳が揺れたその瞬間、
背中が大きく波打った。

ぶち、ばきッ、という音さえ聞こえた。
幼い身体には到底耐えられない刺激。

「いやぁっ……やだ、やだ……ホークス……!」
「ここにいる。痛いなら俺を掴め!」

は必死にホークスの胸元を握りしめる。
涙で顔をくしゃくしゃにして、声を震わせて。

「なんで……なんで翼なんて……!
 私、こんなの欲しいって思ってない……!」

ホークスはその言葉に胸が締めつけられた。
理由はわかる。
翼はホークスの象徴。
それを“コピーしてしまった”ことで、は自分の存在が崩れることを怖がっている。

だから——ホークスは言った。

「、聞け。
 ……俺の翼と同じ形になっても、
 “お前はお前だ”。
 それだけは絶対変わんねぇよ。」

の呼吸が少しずつ整っていく。
だが痛みは引かない。
むしろ、最終段階へ近づいていた。

背中の皮膚が光と血のような色で脈打ち、
内側から翼が——

ぶわっと広がる。

赤い羽根。
本物と見間違うほど密度の高い翼。

はぐったりと力を失い、涙の跡だけ残して肩で息をしていた。

「……ホークス……こわかった……」
「うん。よく耐えた。ほんとによくがんばった。」

ホークスはそっとの額に触れ、
安心させるように——
額へ優しく触れるキスを落とした。

体温が伝わる。
ただの慰めじゃない。
「ここにいる」「守る」という意思そのもの。

の瞳から、ぽろっと新しい涙がこぼれた。

でも今度の涙は——
恐怖じゃない。
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