第3章 はじめましての訓練
模擬任務の日。
ホークスはのヘルメットを被せてあげる。
「怖がんなって。オレが隣にいる」
「……うん。ホークスとなら……ぜったい大丈夫……」
ホークスは膝を曲げ、目線を合わせて優しく笑う。
「その言葉が聞けりゃ充分だ。
さ、行くぞ。相棒」
「うん……!」
は彼の手を握り返す。
ふたりの影が重なり——
その瞬間、公安の廊下に、二つの翼がふわりと広がった。
ホークスの赤い翼と、
小さくても確かなの紅い翼。
これが史上最年少の公安コンビ、
“二つの翼(デュアルウィング)”の誕生だった。
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朝の公安寮。
ホークスはの制服を整えながら、眉間に皺を寄せている。
「……なんで前閉まんねぇんだ、このボタン……」
「ホークス、そこ逆だよ……」
「あ、ホントだ。おっかしいなァ?」
がくすっと笑う。
「そんなに緊張してるの?」
ホークスはむっと横を向いた。
「してねぇし?
……ただの模擬だし?」
(めっちゃしてる……)
はその分かりやすさが可愛くて、胸がぽかぽかした。
支度が終わると、ホークスが小さなヘルメットをの頭にそっとかぶせる。
指先が耳に触れた瞬間——
は胸がぎゅっと掴まれるように緊張して、息を呑む。
「苦しくないか? 痛くない?」
「……ううん、大丈夫……」
ホークスは優しく、まるで壊れ物でも扱うように顎紐を整えた。
「よし。
じゃあ——行くか、相棒」
「……うんっ」
ふたりの手が自然と重なる。
の手は小さくて温かい。
ホークスの手は大きくて、少しざらざらして、頼もしかった。