第3章 はじめましての訓練
だが、次の瞬間。
――ぐらっ。
空気が縦に揺れた。
訓練場の微かな気流がの小さな体をすくい上げ、ふわっと高く持ち上げてしまった。
「ひあっ……!? た、高い……むり……むりむりむり……!」
羽ばたきが乱れ、身体がぶれる。
ホークスはすかさず羽根を数十枚放ち、空中で“安全ネット”のようにの下に滑り込ませた。
「ちゃん、落ち着いて!
深呼吸! ほら、オレ見て!」
は震える目でホークスを見つめる。
視界が涙で滲む。
離れれば、もう二度と戻れない気がして。
飛べば、あの日のように、大切なものを失う気がして。
「やっぱ……こわいよ……」
「……そっか」
ホークスはを抱き寄せ、羽で包んだ。
その体温が、ゆっくりと恐怖を溶かしていく。
「飛ぶってのはさ、空が怖くないやつがするもんじゃない。
怖いのに、それでも上を向けるやつが飛ぶんだよ」
抱きしめながら、彼は続けた。
「ちゃんは、ちゃんと“空を怖い”って思えてる。
だから偉い。
……怖がりながら立ち向かうやつの方が強いんだ」
その言葉に、の肩の力が少し抜けた