第3章 はじめましての訓練
色々試す中で、研究員がつぶやいた。
「もしかして……“強い感情”が条件かもしれん。
治癒個性が発現したのも感情が揺れた時だ」
ホークスがを見る。
「……ちゃん。俺のこと、怖い?」
はぷるぷる首を横に振った。
「こわくない……!
ホークスは、やさしくて……あったかくて……」
言いかけて、恥ずかしくなって口をつぐむ。
ホークスは優しく笑う。
「ありがとう。じゃあ……別の“強い感情”を引き出さなきゃね」
記録係たちがざわつく。
“強い感情”とは何か。
喜び?悲しみ?怒り?
それとも――。
何時間も試したが、成果なし。
「申し訳ないが、一時休憩に入る」
委員長の声で、訓練室の空気が少し緩む。
とホークスは隅のベンチに並んで座り、
紙コップに入った温かい紅茶を飲んだ。
「……ホークス、ごめんね。ぜんぜん発動しない……」
「謝らなくていいの。
ちゃんが悪いんじゃないよ」
はうつむいたまま、紅茶を見つめる。
が、ホークスはそっと声を落とした。
「それに……ちゃんががんばってるの、ちゃんと見てるから」
その一言に、胸がじわっと熱くなる。
涙がにじみそうになって、急いでまばたきをする。
「……ホークス、すき……」
「え?」
「大好き……!やさしくしてくれるから……」
泣き笑いのようなの顔に、
ホークスは「ああ」と小さく息を漏らした。
それは、イラつきでも焦りでもなく――
理解の音。