第3章 はじめましての訓練
公安での生活が始まって一年。
は6歳になり、ホークスは13歳になった。
訓練室に差し込む白い光の中、
ふたりはいつも通り向かい合っていた。
今日の目的は、
《のもう一つの個性──コピー能力》
の発動条件を探ること。
治癒個性は安定してきた。
だがもう一つの個性は依然として謎のまま。
公安上層部は慎重だった。
“個性をコピーする”という能力は、使い方次第で危険だからだ。
だからこそ、
ホークスがの専属トレーナーとして任された。
彼の優しさと繊細さが、もっともの力を引き出せると判断されたのだ。
訓練場には記録係の大人たちが数人立ち会っていた。
は少し緊張してホークスの袖を握る。
「……今日は、なにするの?」
「ちゃんの“コピー個性”が、どうやったら発動するのかを探るよ」
「むずかしい……?」
「大丈夫。俺がいるから」
その言葉ひとつで、の肩の力がふっと抜ける。
どれだけ周囲の大人が怖くても、
ホークスがそばにいれば安心だった。