第3章 はじめましての訓練
ある日、は訓練で大きくミスしてしまった。
治癒の光が暴発し、器具を壊してしまったのだ。
スタッフの前で、は自分を責めて泣き出した。
「ごめんなさい、ごめんなさい……!」
「、落ち着いて」
ホークスが駆け寄ろうとした瞬間、
ははじめて彼を突き放すように叫んだ。
「こないで!!」
その声は、恐怖と混乱の表れだった。
ホークスは一歩だけ引いた。
けれど……表情は全く怒っていない。
むしろ、ものすごく心配そうだった。
「……分かった。少し離れるよ。
でも、ひとりにしないからね」
はしゃくり上げながら床を見つめ、
その場に蹲る。
部屋が静まり返る中、
ホークスだけは、そっとの“近すぎない距離”に座った。
その距離が、には…なぜだか安心に思えた。
しばらくして、がぽつりと漏らす。
「……ごめんなさい……」
「いいんだよ。怖かったね」
「すぐ泣いて……きらい、そういう自分……」
ホークスは優しく首を振る。
「ちゃんの涙は優しさなんだよ。
誰かを守りたいって気持ちを持ってる子は、傷つきやすいんだ」
「……ホークスも?」
その瞬間、彼の表情が一瞬だけ曇った。
けれどすぐに笑顔に戻す。
「まあね。ちょっとだけ」
その言い方に、は胸がぎゅっとなった。
自分だけじゃないと知れて、息が軽くなる。