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たまのケージ【ヒロアカ】

第16章 Drastic medicine(緑谷出久 ホークス)


「どうかしましたか?」

僕の気持ちなんて露ほども知らないだろう甘井さんが、腰掛けていた机から降りた。

 あ!えっと……なんだっけ……そうだ……

「最近、数学頑張ってるみたいだね。テストの結果、見たよ」
「……あ……」

甘井さんが、喜びの表情を見せる事はなかった。

どこか、表情に陰りがある様に見えた。

「……ありがとう、ございます……」
そう返事をされたけど、そんな暗い顔をされると心配になってくる。

 どうしたんだろう?

 僕、なんかヘンな事言っちゃったかな……?

 ……それとも……

「……どうしたの?なんか、悩んでる?」

その言葉は、自然と口をついて出た。
結局の所、僕はおせっかいな人間なんだ。

甘井さんはなんでそんな顔をするのか、僕には話してはくれない気がした。
だけど、触れたかった。


彼女の、心の柔らかい所に。


視線を落として左右に泳がせた後、甘井さんがゆっくり口を開いた。


「私……最低なんです」


そう言った彼女の目から、涙が一筋流れた。

「え!あの、甘井さん!?」
突然泣かれてしまって、僕はめいいっぱい焦ってしまった。

でも、焦りながらも考えた。

どうして彼女が、自分を最低だと思うのかを。


だけど、答えは出なかった。


これはきっと、彼女にしか分からない事なんだと、そう思う事にした。

「甘井さん……泣かないで」
慰めの言葉をかけながら、肩に手を置こうと腕を伸ばした瞬間、甘井さんが僕の胸に飛び込んできた。
「っえ!?」
僕は、軽く混乱しながら伸ばしかけていた腕を小さな背中に回していた。


どれくらい、そうしていたただろうか。


僕の、ドキドキとうるさい程に高鳴っている心臓の音が、きっと甘井さんに聞こえてしまっているだろうなと思った時、呟くように彼女が言った。



「緑谷先生……好きです……」



と。


その一言で、僕の混乱は大きくなっていく。

 え、え!?

 甘井さんが、僕を?

 いつから?どうして?

 いやっ……え、え!?

突然の告白に目を白黒させる僕に、更に追い打ちをかけてくる。

「最低な私の事、嫌いですか……?」

 嫌いなわけない。

 ずっと、好きだったんだ。

 でも……
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