第16章 Drastic medicine(緑谷出久 ホークス)
繭莉が、俺の口元を手で押さえた。
その手首を掴んで、口元から離させる。
「聞いて、繭莉」
彼女は、首を横に振った。
「……お願い、言わないで」
その目には、うっすら涙が溜まっていた。
「私……だめなの、だけど、離れたくない。……だから、言わないで」
意味が分からない。
だけど、これだけは分かる。
繭莉は、俺に好きだと言われたくないし自分も俺の事がどうとか言う気もない。
ただ、身体だけの関係になりたいんだろう。多分。
それは、味気なくて悲しい事だ。
だけど、それでもよくなってしまう。
「分かった。言わない……もう、言わないから」
そう言って抱きしめると、繭莉がどこか安心したような表情を浮かべた。
「ごめんなさい……許して……」
そんな事を言われて抱き返されたら、この子の全てを許してしまう。
そして、更に深みへハマっていくんだろう。
相当ヤバいな……俺。
自分のどこか狂った考えに戦慄を覚えながら、繭莉の額にキスをする。
その行為に顔を上げたので、今度は唇にキスをして髪を撫でた。
さらさらとした髪が、指をすり抜けていく。
本当は、心が欲しいけど繭莉がそれを拒むから。
もう、身体だけでもいい。
それで、そばにいられるなら。
「は……繭莉」
「なに、きゃっ!」
ソファに押し倒して、膝に手を置いてグッと足を開かせる。
「っ!」
恥ずかしさで顔を赤らめた繭莉がこっちを見つめてくる。
「……ホークスさん……」
名前を呼ばれると、胸がぎゅっとなる。
だけど、この感情を言葉にする事はもう許されないから。
言葉の代わりに、身体をぶつけるしかなかった。
ショーツを足から抜かせて、秘所にもう勃っていた自身を擦りつける。
「ごめん、繭莉……もう、挿れたい……」
そう言うと、コクコクと繭莉が頷いたので一気に奥まで挿入すると、背中に回された腕にぎゅっと力が入った。
「あぁんっ!そ、んな、いきなり……!」
「……っ、繭莉……!」
そうやって、今日も愛しくてどこか虚しい時間が過ぎていく。
やっぱり、味気なくて悲しい事だ。
それでも君の全部が欲しい。
そう、思ってしまうんだ。