第15章 本当はね(ホークス)
「……う……」
さっきまで帰ろうかと思っていたはずなのに、私は部屋に足を踏み入れていた。
素直に考えれば、私は鷹見の温もりを感じたいのかもしれない。
抱きしめて、この色々あって凝り固まった心をどうにか解して欲しい……と、思う。
バタンとドアの閉まる音がした後、後ろからぎゅっと抱きしめられて鷹見の体温が背中から伝わる。
「繭莉さん、なんかいい匂いする」
項に頬を寄せられて、ぴくんと身体が反応してしまう。
「……んっ……」
「……あの、さ……」
「え……?」
何か起きるかもしれないという甘い期待を抱きながら自分の身体に回された鷹見の腕に手を置いた、その時だった。
「……眠い……」
「……は……?」
こんな時に意外過ぎる言葉に、私は耳を疑った。
ね、ねむ……
眠い!?
あ、え……?
「マジで最近忙しくて、物理的に眠れてないんですよ……」
鷹見はもぞもぞと私の髪に顔を埋めた。
「繭莉さんと居ると落ち着くんス。あー……このまま寝たい……」
あー……もぉ……
しょうがないなぁ……
私は、ちょっとばかりヘンな期待をしていた自分に恥ずかしさを覚えながらベッドに腰掛けた。
「ん!」
両腕を大きく広げると、鷹見が子供みたいに抱きついて来たので、そのままベッドに2人でごろんと横になる。
「……繭莉さん枕にして寝れるとか、サイコー……」
「あっそぉ……寝なよ、もう……」
「……ん……」
鷹見が動かなくなったと思ったら、程なくしてすぅすぅと気持ちよさそうな寝息が聞こえてきた。
視線を落として、彼の寝顔を見ると子供みたいにあどけないからちょっと可愛いなとか、今まで感じた事もないような感情が湧いてくる。
「いい大人のくせに、なんなんだか……」
だけど、こんな顔を見せてくれるのも私にだけなのかもしれないと思うとなんだか嬉しくなってぎゅっと抱きしめた。
「……うん……」
眠ったままの鷹見が、私の服をぎゅっと握った。
「ホント、子供みたい……」
自然と自分の頬が緩んでしまうのが分かったけれど、誰も見ていないしいいか、なんて思った。
鷹見の身体が湯たんぽみたいに温かいのと、気持ちよさそうな寝息につられて私もうつらうつらとしてきた。
「おやすみ……鷹見……」
彼を抱きしめたまま、私もいつの間にか眠りに落ちていた。