第15章 本当はね(ホークス)
「寂しいけど、それと同時に少しホッとしたんです」
「……え……」
それは、失ったという個性の話だろうか。
深くは言わないけれど、きっとそうなんだろう。
「もう、いいんだって思ったらなんか身体が軽くなったっていうか」
そう言って鷹見はふっと頬を緩めた。
「そ、っか……」
「あと、もう1つ」
まるで、顔なんか見られたくないとでもいうかのように私を抱きすくめると首元に顔を埋めてきた。
「好きなんですよ、繭莉さんの事」
……え……
そうなの?鷹見が?私を?
「察すればすぐ分かると思うんですけど……繭莉さん、ニブイから」
「!……うっさいな……」
「……まさか、ここまで言わされるとは思わなかった」
そう呟いた鷹見の声はいつもより少し低くて、ドキンと胸が高鳴った。
「ついてきてくださいよ、繭莉さん」
それだけ言うと、鷹見はすたすたと私の前を歩き出した。
「……は……」
はっや、歩くの早い!
速すぎる男だからなの?なんなの?
……っていうか……
これ、ついていったら私……どう……
そんな事を思っていたら、鷹見が雑踏に紛れて見失いそうになってしまった。
やっば!はや!
ついてこ、とりあえず!
私は、ほんの少しの甘い期待を抱えて彼の後を急ぎ足でついて行った。
しばらく、鷹見を見失わないように歩いているといつか見た建物が目に入った。
「……あ……」
ここ、鷹見んちじゃん……
「ついて来れたんだ、繭莉さん」
やっと振り返った鷹見が、ニッと笑うと建物の中に入っていったのでその後をとりあえずついて行く。
歩きながら、考えた。
これさぁ……両想いになっちゃって……
何するって、なに……ナニ……
ああっ、私、なに考えてんの!?
しかもさぁ、今日デートとか思ってたから無駄に下着とか……なんかやだ、気合入ってる人みたいでやだ!
か……帰ろっかな……こういうのは、また後日……
「ぅわっ!」
考え事に熱中しすぎて、部屋の前で立ち止まった鷹見の背中に思い切りぶつかってしまった。
「ご、ごめん……」
「ぶつかる程、何一生懸命考えてたんです?」
「……う……」
私を茶化しながら鷹見がドアを開けると、前見た時と変わらない普通の部屋が姿を現した。
「入る気あるなら、入って下さい」