• テキストサイズ

たまのケージ【ヒロアカ】

第15章 本当はね(ホークス)


「た、鷹見……」
恐る恐る振り向くと、そこには少しばかり不機嫌そうな鷹見が立っていた。
「さっき、あんな公衆の面前でキスしてたじゃないですか」
「あっ、あれは!キスっていうかおでこだし!」
咄嗟に言い訳をしたけど、鷹見は納得いかない様子だった。
「……ふぅん……」

 あぁっ、違う!

 なんか、こじれてる!

 えっと、なんだっけ……

 鷹見に私……

 ……本当の、気持ち……

とは思ったけれど、いざ自分の気持ちを正直に言えと言われると、逆に言えなくなってしまう。

「えと……あの、ね、鷹見……」

まるで、不審者のように目がふらふらと泳いでしまう。


好き


というその2文字が、胸の奥につかえて出てこない。

私はこんなにも、人に気持ちを伝えるのが下手な人間だったのだろうか?
いや、もしかしたら自分の気持ちを突っぱねられた時の事を考えると怖くて言えないのかもしれない。

完全に黙り込んでしまった私を見て、鷹見が小さく溜息を吐いた。

「……な、によ……」

いくら小さくても、こんな時に溜息なんか吐かれるとちょっとショックだ。

「溜息吐くくらいなら、そのまま無視してどっか行きゃよかったじゃない……」

こんな女、めんどくさいと自分でも思う。

自分の気持ちにすら鈍感で、何にも考えないくせに自分は傷つきたくないと常に思ってる。

要するに、ただの怖がりなんだ。

「怖いから、言えないのに……っ、もう、そんな歳なの!それくらい、分かってよ!」

本音を言った所で目の奥がじんと痛くなって、視界が滲む。

「……めんどくさいって、自分でも分かってる……ごめん、鷹見の事好きだって、さっき気付いた……」

泣いてる所を見られたくなくて、思わず鷹見に背を向けた。


「なんだ、ガンバれば言えるじゃないですか繭莉さん」


肩をふわりと掴まれて後ろを見ると、鷹見があの日みたいに優しい顔をして立っていた。
「……あ、えと……」
「俺も、2つばかり繭莉さんに白状します」
「……え?」

鷹見が、私なんかに何を白状するというのだろうか。

「前に聞きましたよね……なんでそんなに寂しそうなんですかって」
「うん……?」

少しだけ間を置いて、鷹見がぽつぽつと語り始めた。

「ずっと当たり前にあったものがなくなるって、寂しいですよ……だけど……」
「……?」
/ 383ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp