第5章 A Heart Divided

黒尾の手は止まらなくて、柔らかい仁美の体を堪能していく。

黒尾の手が肌に直接触れるたび、唇の端から仁美の声が漏れた。




熱い息に絡まって、そんな仁美の声を聞くたびに、黒尾は顔を顰めた。




経験のない者同士で、こんな場所で仁美を抱いたらどうなるか…。

そんなのは考えるまでもない。




押し込めている感情は、仁美とキスをする事で紛らわした。

だけど耐えられない昂りは、仁美の体に押し付けた。




黒尾の下半身が仁美に触れるたびに、仁美は強張り体をすくめる。





（ああ…ごめん……怖がらせて……。）

そう心の中で何度も呟いても、止まらなかった。




研磨が自分より先に仁美の唇に触れた。

なら、それ以上に自分の痕を仁美に与えなければ頭がおかしくなりそうだった。




「… 仁美。まだ研磨に決めないで。」

少し唇を離して黒尾はそう呟いた。

仁美が薄っすら目を開けると、懇願する黒尾の顔が目に入った。