【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第13章 Beyond the Broken Line
研磨はジトッと半目で黒尾を見る。
一方黒尾は仁美が研磨の名前を呼んだことと、研磨には嫌がらなかったことが一番刺さった。
黒尾はその事実に、またジワっと涙が出る。
「…仁美…。なんで研磨ばっかり…。」
グスグスと鼻を鳴らしながら、黒尾はまた仁美に覆い被さる。
「クロ…酔いすぎ…。」
黒尾はまるで聞こえていないかのように、仁美 の唇へ何度も、何度もキスを重ねていた。
離れた瞬間にまた吸い寄せられるように触れてしまう。
そんな執拗なキスの合間、黒尾の唇がゆっくりと滑り、頬、耳下、そして仁美 の首筋へと降りていく。
湿った音が、暗い寝室に静かに滲んだ。
ちゅ…… ちゅ……。
黒尾の呼吸が熱い。
唇を押しつけるたびに、そこに赤い痕が一つ、また一つと増えていく。
まるで、消えないように刻みつけるみたいに。
「……ん……やだ……クロ……。」
酔っているせいで力の入らない声だった。