【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第2章 Shifting Distance
一応「勉強会」という名目で来たけれど、いつものように彼はすぐに飽きてしまう。
仁美も、それを止めるほど真剣に集中しているわけじゃなかった。
「ねえ、研磨。」
「んー。」
「……クロの部活も終わったしさ、告白しようかなぁ。」
鉛筆を転がしながら、天井を見上げるように言った。
軽い調子を装ったつもりだったけれど、声はほんの少しだけ震えていた。
部活の終わりと一緒に、ずっと心の奥でふわふわしていた想いが、現実の形になりつつある。
研磨の手が一瞬だけ止まった。
そのままスマホの画面を見つめたまま、少しの間が空く。
「……勝手にすれば?」
ぽつりとそう言って、研磨はまたスマホのゲームに視線を戻した。
画面の明かりが彼の頬を淡く照らす。
表情は変わらない。声にも感情はなかった。
それなのに、仁美にはほんの少しだけ胸の奥がちくりとした。
「なんか言い方冷たくない?」
「別に。好きにすればいいじゃん。」