【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第14章 The Geometry of
「…研磨。」
黒尾が研磨の肩を掴み仁美から離す。
「…クロ、買ってきた?」
仁美は心臓が潰れてそうなくらいの緊張感でいるのに、研磨は飄々と黒尾と会話をしている。
「俺に買いに行かせて先にやるとか……。ホントそう言うとこだぞお前。」
「だって仁美、クロじゃ嫌々言うじゃん。」
この部屋で緊張感を持っているのは仁美だけで、まるでいつも通りに言葉を交わす二人を見て、仁美は理解が追いつかない。
「… 仁美。」
黒尾は研磨から視線を逸らして、仁美を見下ろした。
仁美の胸がギュッと握りつぶされる。
「俺のこと好きって言って、なんで研磨に抱かれるの?」
仁美の頬に手を添えながらそう言った黒尾の表情は、とても苦しそうに歪んでいた。
「さっさまで俺に好きって言って、キスしてたのに…。」
黒尾は仁美の体を抱きしめると、その顔を隠すように仁美の胸に顔を埋めた。