• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第5章 A Heart Divided


「……こんなこと、されても……迷惑だよ。」




黒尾の身体がぴくりと動いた。

仁美は、今にも泣きそうな息を押し殺しながら続ける。




「クロの……唯一の“好きな人”にもなれないのに……こんなんじゃ……友達にもなれない。」




その言葉に、黒尾の目が細く揺れた。

やがて黒尾が低く、押し殺すように呟いた。




「……友達だと思ったことなんて、一度もねぇよ。」

仁美の胸がぎゅっと縮む。

顔を上げられないままでも、黒尾の言葉は真っ直ぐに突き刺さった。




「ずっと……好きだった。」

短い言葉。

けれど、その声には長い時間が詰まっていた。




黒尾の手が、仁美の顔のすぐ横の壁をぎゅっと握りしめる。
骨が軋む音がするほどの力だった。




仁美の呼吸が乱れた。




昨日黒尾は他の女に告白した。

そのことを思い出した瞬間、心がぐらりと揺れる。





「……だって……昨日、他の人に……。」




声が震える。

戸惑いと痛みと混乱がごちゃ混ぜになって、視界がぼやけた。

/ 312ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp